Vol.1 「だれか」から「わたし」へのシフト

【政治】

Interview

リバースプロジェクト伊勢谷友介

written by 田中 友悟/井上卓

市民一人一人が

責任を持つ参加型民主主義へ。

俳優、映画監督の顔を持ちながら、株式会社リバースプロジェクトの代表として、社会課題の解決に取り組んでおられる伊勢谷友介さん。「人類が地球に生き残るための株式会社」という理念を掲げ、デザインや、地域づくり、教育などの多岐に渡るプロジェクトを立ち上げられています。その中の1つで、おまかせ民主主義から参加型民主主義への転換を目指す活動”クラウドガバメントラボ(CGL)”。より良い未来に向けた市民の主体的な行動を後押しするCGLの目的や志を伺いました。

 

人間という種の存続を目指した上で、

個人が生きる意味がある。

 

ーリバースプロジェクトを立ち上げた理由を教えてください。

 

リバースプロジェクトを立ち上げた根本的な理由は、人類が今どういうプロセスにいるか、そしてそれを僕らがどのように把握しているかということについて、論理的に結論づけていきたいと思ったからです。現代社会では、人間それぞれが個人として何のために生きているのかについての答えを持って大人になっている状態ではありません。しかし人間と言う種族で生まれた以上、種の存続というものを目指している事が前提で個の成立の意味があります。つまり、その種の存続がどのようにこれからの未来をつくるのか。そのビジョンを私たちが持つ事によって、どのような未来になるのかをイメージできる社会をつくることが必要だと思いました。つまり現在の社会は、人類の成長の過渡期にあると言えますね。

現在の政治のシステムを見ていくと、政党政治と言われ、現状の社会課題を議会政治で達成できていないように思います。このような中央集権型の政治システムというのがなぜ成立し得たのかなあと思うと、昔は個と個が細くつながることが難しく、各個人が大きい団体にぶら下がっていたからなんですよね。個人が何も考えずに大きい中央政府に従っている今の政治経済です。そして選挙も、それぞれの思いを持った立候補者ではなく、所属政党の党議拘束を持っている人たちに投票しなければいけなくなっています。そうすると僕らが本質的に地球をどうしたい、この問題はこうあるべきだと考えることはしないまま、党のビジョンで世の中が進んでいってしまいます。

問題はもう1つあって、選挙での投票率は若者よりも高齢者が高いのが現状です。すると政治家は、投票をなるべくしてくれる高齢者向けのものが中心になってしまいます。

政治家は投票率が高い高齢世代にアプローチをする。そうすると未来の事を深く考えないままに、「隣の人がああいう風に言ってるし、私もあの人に投票しよう」といった、思考しない世の中になってしまう。これは政治として全うではないと思っています。

そう考えたときに、群衆が自分たちの頭で考え、議論する機運を新たに生み出す仕組みを作りたいと感じて、リバースプロジェクト内でクラウドガバメントラボ(CGL)という活動を始めました。今の民主主義のシステムを、お任せ型から市民参加型に変えていこうというものです。現在は間接民主主義が始まって以来、初めてインターネットが私たちの目の前にあって、個人と個人がSNSでつながっていく。その結果、ある種のグループを作って行動を共にしていったり、ゆるいつながりが大きなムーブメントになる可能性を僕らは持っているわけです。民主政治が始まった時と今を比べると、全く違った環境設定なんですけど、ずっと同じままだった政治システムは徐々に崩壊しつつある。だからこそ僕らは実際に地域に入らせていただいて、新たな直接民主政治のシステムづくりを提案させてもらっています。小さな範囲から民間が自分たちの街の未来を作っていくお手伝いをするのがCGLの主な取り組みです。

 

ー人間が成長するための新しい仕組みを作られているのですね。

 

そうです。皆で考えて一緒に作っていこうよ!ということです。CGLにはもう1つポイントがあって、僕らの政治スタンスは右でも左でもございませんし、現政権側でもないし野党側でもない。何をしたいかというと、現システムの不完全な部分を完全にするための最適化です。人間同士のコミュニティの最大化を政治とするならば、その政治のシステムを最大化・最良化していかないと、我々が本当に何を問題として、どう変えていきたいのかを考えるような成長ができないですから。これをCGLが変えられると思っているんです。個人が変われば、集団は絶対に変わっていきます。

 

主役は1人の英雄から、未来への意思を持つ私たちへ。

 

ーCGLでは人類の成長を目指した様々なシステムを手がけてこられたと思います。これまでの主な取り組みについて教えていただけますか?

 

僕らは成功事例を提供することができないんですよ。まだ民主政治のシステムを変えられていないので。プロセスをお手伝いした例では、栃木県の黒磯駅前の再開発プロジェクトです。地域に住む市民の人たちが自分たちの町をどういう地域にしたいかを共に考え、その答えを市民投票で集約し、開発方針を決めていくというものです。

10万人ほどの全ての市民に投票権があり、赤ちゃんがいる親は赤ちゃんの分の票を持っているような形にしました。つまり自分たちの子供の未来をも考えて、この町が今後どうあるべきかに直接投票できるシステムを提案したんです。その時に立ち上がった市民団体や駅前協議会は、今でも継続して地域での活動を続けています。

また富山県の南砺市では、地域が掲げるエコヴィレッジ構想を考える上でのファシリテーターとして、民間と一緒に議論しながら計画を作っていくお手伝いをさせていただいたりもしました。

 

ーリーダとなってガンガン引っ張っていくというよりも、ファシリテーターとして調整やサポートをされるのですね。

 

そうですね。映画人として最近僕が思うのは、最近のテーマ的に現実的ではないものが、ヒーロー映画だと思っています。つまり、ヒーローが立ち上がってものすごいパワーで何かを奇跡的に解決する、これはどう考えても普通の人にはできないことですね。そうやって誰か1人のヒーローがこの世の中を変えると言う事はもう2度とありません。間違いないです。昔は英雄がいて、その英雄が倒すべき敵がいて、拳を突き上げて倒す勧善懲悪的な生き方を正義だと思い込んでいました。

しかし現在のわれわれの最大の正義は人類の存続です。誰かを叩き落とすということは、誰かの恨みつらみが戻ってきて、その結果誰かが銃を向けてきて、それに銃を向け返す連鎖が生まれてしまいます。現代の世界の平和政策はその銃を向き合わせながら平和を作りましょうと言ってるのが主流です。自分たち個人が銃を持っているいるわけではないので、その違和感には気づきません。

では今後どのような社会になっていくかを考えると、未来の人が地球に力強く生きていくためのお手伝いを、どれだけの個人ができたかが問われる社会です。お手伝いの方法は、未来への意志をもって、自分が今やるべきことをちゃんとわかっていれば、何をやってもいいというのが僕らの考え方。

そうするとCGLがやらなきゃいけないのは、民間が自分たちでこれはダメだと思った時に止める能力、いいなと思ったら応援できる能力、これはどうやって解決すればいいんだろうと思ったら専門家を呼んで議論する能力、このような社会課題に対して自分達が解決して次のビジョンや未来の形を作っていく力を民間に身につけてもらうことです。黒磯駅前を舞台に、地元の人たちが自分が死んだ後の未来、自分の子孫が過ごす場所がどうあるべきかを初めて考えてもらったプロジェクトには重要な意味がありました。

 

誰もが未来への1歩を踏み出しやすい状態を作っていく。

 

ー黒磯駅前の取り組みでは、多くの人にとって自分たちの意見がまちづくりに反映される新しい経験だったと思います。皆さんの反応はいかがでしたか?

 

最初は理解していただくのが難しかったですし、今でもまだ難しいことだとは思います。普通の方々は話し合って議論の果てに解決するという舞台の上で生きているというよりも、与えられた仕事をこなすというところで日常に追われているのが現状だと思います。

例えば俳優さんの話をすると、剣を使った殺陣って男性は比較的覚えるのが早いんです。ところが女性はなかなか難しい。何故かというと、幼少期の頃に男の子はチャンバラをしていて、頭で動きのイメージをしやすいからです。でも女の子はチャンバラをして勝ち誇るところに魅力を感じないから、あまり興味を持たないんでしょうね。そうすると簡単には身に付きづらいんです。

今の社会にその話にあてはめてみると、これまで経験したことがなく、うまくいった話を聞いたこともないような新しい取り組みは、一般の人にとっては理解し難く感じてしまうものかもしれません。関わる前から、体験したことのないものを正しくて意義があると感じてもらうことは難しいですね。

だからこそ、みんなが既に経験したことのある中から、自分たちが社会課題を経験し議論できる状態を作っていくことが僕らの仕事です。

例えば「この街をどうしたい」っていう会話を井戸端会議かのごとくに初めて、結論まで至る流れを僕らが応援することによって、彼らなりの未来感で、できる、できないの精査が始まり、みんなで実行できることから始めてみるという感じです。

 

ー何においても、未経験のものに対する良し悪しの判断は難しいですよね。

 

自分の価値観で良し悪しは決まるので、これまでの勧善懲悪は成立しませんからね。強大なパワーを持った魔王がいるとわかりやすいんですけど。(笑)

でも日本の神社のご神体には鏡が多いんです。みんな家族の健康とか平和を願ったりすると思うんですけど、鏡が多いということは一体誰にお願いしてるのかってことですよね。

自分にお願いしているっていうのが、おそらく日本の神の本質なんじゃないのかなと思うんです。昔と比べて今の時代は、個人が行動に移してみんなを引き付ければ、そこにみんながついていくという大きな可能性があります。

じゃあ平和を作ろうとなった時に、今の社会だとどこから平和が始まるんだろうと考えてみると、人を助ける気持ちや優しさに加えて、愛の形としての行動が伴うと、より誰かが救われたりします。まずはその1歩を生み出してくのが僕らの取り組みです。

 

1人1人が「志」を見つけることが、社会の変化を加速させる。

 

ー教育分野では、個の成長を促す学習プロジェクトとして「松下村塾リバースプロジェクト with ITOKI(松下村塾再)」にも取り組まれていますよね。自身の志を見つけ、行動プランを考えることは、多くの人にとって未来への1歩を踏み出すきっかけになりますね。

 

志は作るものではなくて、発見してもらうものです。僕たちは生まれながらにして志を持っているんだけど、それを言語化していないから何の為に生きているのかがハッキリわかっていない。だから松下村塾再ではそれを見つけてもらって、今ある世の中を変化させるための動きや、新しい事業をおこす練習をします。それをサポートすることによって、社会の変化を加速させるのが私たちの役目です。知ると、行うを両立させる「知行合一」と、「志を持って万事の源となす」の2つが我々の学びの基本です。

最近では他にもそういう思考で新しい学びの場を作りたいという動きがが出てきているように感じています。そういう意味ではいろんな人とつながって、松下村塾再が日本の新しい教育モデルになっていくといいですね。若者だけでなく、これから長生きになる大人も未来への意識を持って学べる学校が必要です。社会人になってから足りないテクニックを身に付けたいという人に、教育や仲間が上手くマッチングできて、いいプロジェクトが生まれていくような流れを後押ししていきたいです。

 

ーいわゆる受験勉強とは異なる学びのスタイルですね。

 

大企業が世の中を支えることも1つの形ですが、これから人間と消費と地球の再生能力のバランスを保っていくには今のバランスではダメです。新たな形のシステム、流通、循環を作り出さないといけない。欲望を抑えろよと言っても、1日や2日何も食べない位はできますけど、未来永劫そんなことは難しい。その点で僕はヒューマンビヘイビア(Human Behavior)に注目しています。これは全ての人にある人間の癖のようなもの。脳幹の一番中心の本能的な部分を理解してあげて、サポートを提供してあげることができれば、最適化が進むと思っています。オランダでは人々が議論して答えを作っていく過程を、ヒューマンビヘイビアに基づいてサポートする仕組みがあります。人と人が出会うことによって生まれる化学変化なんかもそう。皆の力を引き出すシステム設計はとても重要です。

 

ーなるほど。何を学ぶかも大切ですが、どのように学ぶかも大切だと。効率的な学びをサポートするシステムは重要ですね。

 

志も大事だけども僕はそれこそ小学校・中学校・高校での習い方っていうのはすごく大事だと思います。1+1 = 2っていうのを記号のごとく覚えていくと記憶でしかないんだけど、何か目的意識を持った時に数字を使うと、どうしても使わなくちゃいけないから何とかして使うようになる。一度応用さえ出来ちゃえば、基礎も使えるようになるはずです。基礎をただ学ぶだけだと全然面白くないし、結果的に成長力が足りなくなってくる。勉強の意義がわかるような学習が大事です。

歴史の学び方についても、データとして覚えても人生ではあまり役に立ちません。大事なのは人間の成長という視点から、世の中を変えようとした人は、どういう状況の時に何を行って成長していったのか、どのような時代背景においてどんな工夫があって、成功した人、失敗した人の要因はなんだったのかを考えることです。社会歴史を学ぶんだったら革命のレシピを学ばなきゃいけないんです。

このようにヒューマンビヘイビアである人間の癖を知ったり、歴史の成り立ちを紐解いていくことで、社会や人を変化させていく方法を数式のように設計していけるかもしれない。

世の中ができた結果について解析するのは得意だけど、応用的に新しい世界を作っていく力が生まれにくいのが今の教育です。だからこそ、人類の中の1つの命として、種の存続を考えているビジョナリストがどんどん起業していくことで、学ぶべきスタンダードが変わっていくといいですね。

 

ーこれから大切なのは「社会を変えていくための学び」だということですか。

 

極端な話、とにかく稼ぎたいなら、今までの成功例を引っ張ってきてダウンロードすればいい。でもそこに人間が幸せと感じるポイントはないのではないでしょうか?それはリーマンショックなどでみんな経験しているはずのことです。だからこそ、人間は「未来においてどのくらいの人間を生かしたか」ということに幸せを感じられるのではないでしょうか?誰かから生きててくれてありがとうと言われるという事は、おそらく人間として最大の喜びでそれ以上の幸せはないんじゃないでしょうか。

29歳で亡くなった吉田松陰は命を無駄にしたのではなく、命を大切にしたからこそ立派だと言われている今がある。そのような価値観が広まりつつある時代だからこそ、それが教育に浸透してくると、世のお父さんお母さんが子供に伝えたいことが変化したり、地域の課題を皆で協議して解決に取り組む動きが増えてくるのではないでしょうか。

これからの未来には、自由と責任を民間に分配していくことが理想です。 一部の個人に自由と責任を押しつけて楽しく生きるような、未来のこと考えない人は「ふざけんなよ」ってみんなから言われる社会。この精神的な変化を教育で早く教えてしまわないとみんな社会人になってから楽しく生きられないだろうなと思います。

だからこそCGLは人間のコミュニケーションの理想化をなるべく早めるべくアクションしていきます。

 

ー幸せの基準が変わると、おのずと未来志向の人が増えていくと。

 

ただビジョンだけではなかなか聞いてくれるところが少ないんです。事実でしかないものにはあまり夢がないですよね。ただ自分を幸せにすることばっかり考えてる人より、他人を幸せにすることばっかりを考えてる人は多分幸せなんです。究極の利他は利己だということです。そういう思想を実感できるような所では、未来に向けた話し合いや行動が生まれているし、僕らも一緒に未来づくりができるんです。今後はコミュニケーションのあり方に合わせて、自分の思考のリズムに近い地域に住めるようになってくるといいですよね。今後作っていきたい地域の市民自治は、自分たちの幸せを形にして、それに対してファシリテーターが情報を皆に広げたり、意見収集をまめに行えるような動き。そのような仕組みづくりをどこかの地域とご一緒させてもらいたいと思っています。

 

未来を想像できると、今何をすべきかが明確になる。

 

ー松下村塾のような未来に向けた学びを受講した人たちの変化はいかがでしょうか?

 

社会人向けでは、山口銀行さんが主催した山口県内の課題解決を事業で解決するプロジェクトのキックオフとして松下村塾を実施しました。その後に、参加者が手がけた萩野菜ピクルスがグッドデザイン賞を受賞したり、参加者間のコミュニティが生まれています。大学生向けの松下村塾はもう5回ほど実施しました。参加者の中には、島根県に住み込み、地域通貨を用いて地域を変えていこうと挑戦する子が生まれたりしています。

 

ー自らの志をアクションに変えている方がたくさんいらっしゃるのですね。皆さんの今後が楽しみです。

 

人類の今の社会を宇宙人の目線で見たらダメなところだらけです。受講者はこの状況を治せるのはこれから生まれてくる人ではなく、私自身だということを改めて理解するんです。それは多くの人にとっては初めて考えることで、かなり衝撃的なようですね。すると、これまでの人間が作ってきた世の中を見つめてみて、解決すべきことを現代の仕事と併せて提供できないと消費者には届きません。まだそのレベルの提案がたくさん出てくるわけではないですが、未来への志を持った多くの受講生が社会へ進出していく流れが生まれています。今後はリバースプロジェクトにも学生インターンとしてどんどん入っていただいて、事業オーナーになってもらうような展開も考えています。

また、月1で開催しているトークイベント「革命のレシピ」では、現代における新たな思想やテクノロジーの情報をシェアしながら、参加者と共に次のビジョンについて考えたりもしています。

人間には考える力が備わっているのに考えないのはもったいない。未来を考えると、今どうすべきかがわかるのに、今だけを見ているとビジョンがないから自分の立場を守るためにしか行動できません。このような考えをより広く伝えていく為に必要なことは、関われば誰もが本能的に人類の存続のための役割を担えるような社会システムを提供することです。それは起業するということでもあるし、既にある企業の体制を変化させていくことかもしれない。この連続性が少しずつできていくと、いい世の中に変わっていくんじゃないかと思います。

 

社会の変革とは、世の中の無関心に取り組むこと。

 

ー会社を設立して以降、様々な取り組みに挑戦していらっしゃるわけですが、日々アップデートされていく活動の中で、今のリバースプロジェクトが大切にされているポイントを教えてください。

 

これからの社会づくりのポイントはやはり自由と責任の拡散(分配)です。これが実現すると行動の規範ができますから。集権から分権へのシフトが起こり、個人がその権利を地球人の視点で行使できるのが大事です。僕たちはそういうアクションの火を灯したり、仰いだりしていると言えます。世の中的にも最近はいい風が起きつつあるように感じています。リディラバの安部さんが社会課題を学ぶ学校を作ろうと頑張っていたり、LIFULLさんも21世紀型の教育思考を導入していたりと、多様な学びが増えてきています。

これから僕らが提供したいと考えているのは、大学の授業の単位になるようなインターン制度を作って、実践での学びからプロジェクトリーダーを輩出していくことです。1度失敗しても、リバースプロジェクトがこれまで培ってきたきた力や責任感をシェアできると思うので、そこから一緒に成長してもらいたいなと思っています。

 

ー会社内でも、実践の学びの場を作っていかれるのですね。

 

リバースプロジェクトの存在が社会の空気清浄機になることが最初のコンセプトですから。お金や商品も含めて。

 

ーよりよい未来を主体的に作りだせる人材がどんどん増えていくことが楽しみです。

 

僕たちの時代には未来のことを真剣に話す若者なんて今ほどいませんでした。(笑)高校生や大学生が「人を笑顔にする仕事がしたい」と心から言っているのは、本当に希望なんです。でもこの社会ではまだその志が上手く仕事に結びついていない状態だったりします。僕が会社を作る時も絶対に成立するわけがないと散々言われました。社会なんて変わらないという気持ちがまだ蔓延しています。僕は映画だけでは社会は変わらないと思ったので、リバースプロジェクトを作りました。1つ1つ実現させていくことが未来を形作っていきます。

 

ー実現させることで初めて生まれる成果がありますよね。

 

結果がすぐに目に見えない環境保全やデモ活動にも、ちゃんと意味はあるわけです。私たちはその意義をキチンと評価できるソーシャルインパクト(社会に対する成果)の指数を自分自身でもたなきゃいけないんです。リーダーシップを取る側はその成果を説明できたり、ある種の達成感を感じられる必要がありますね。映画でいえば演出という役割です。ここの工夫がクリエイティブであり、難しいポイントです。

 

ー大事なのはわかっているけれど、なかなか行動に移せないことって多い気がします。人の気持ちを動かしていく上で大切なことは何だと思われますか?

 

やってる側がいかに幸せかってところがすごく大事だと思います。幸せなノリといいますか。もし楽しいものであればみんな参加したくるなるはずなので。幸せな空気感ってそれぞれあると思うんですが、まずはプレーヤーとして表立っている人が幸せそうでなかったら、周りに参加する意義を感じてもらえません。そして、とてもしんどいことかもしれませんが、世の中の無関心に取り組むことこそが、社会を変革する第1歩ですね。

 

リバースプロジェクトの挑戦

 

ー最後にリバースプロジェクトの今後の活動について教えてください。

 

リバースプロジェクトでは、衣・食・住の分野から地球1個分の生活を提案すべく、3つのプロジェクトが大きく動き始めています。

「食」に関しては"E"REGULAR FOOD(イーレギュラーフード)といって規格外野菜を社員食堂等で使用し、売り上げの一部をフードバンクや子どもシェルターに寄付される仕組みです。この学食ないし社食を選択いただければ、既存の価格より数パーセントほど安く購入でき、なおかつ産地直送で美味しい野菜を提供できます。

「衣」では、全日本制服委員会というアライアンスを組んで、循環効率の良い制服を提供させていただいています。地球に優しい制服をストリートのデザイナーが着たいクールなデザインで作り出しています。

「住」部門では、大塚家具さんとトライさせてもらってるアンティークニューティークというプロジェクトがあります。古くなった家具をリバースのクリエーターが新たな形にプロデュースしています。例えばちゃぶ台が普通のテーブルになっていたり、桐箪笥が分割されてかっこいいテレビ台になってたり。ちなみに我が家のテーブルもそれになります。

これら3つプロジェクトにご興味を持っていただけましたら、是非お声がけください。もちろん地域づくりや教育のお仕事もお待ちしております。

僕たちのアクションがもっと大きくなっていくことで、社会からの目線は変わってくると思うので、そうなるように頑張っていきます。いいことして稼ぐシステムが本流に変わってくると、そうじゃないシステムが衰退していく。それが世の中の為になる変化ですからね。

 

(聞き手:田中友悟  編集:田中友悟、井上卓 /WorldShift MAGAZINE編集部 )

(写 真:松尾成美 / 松尾成美写真事務所)

 

株式会社リバースプロジェクト

https://www.rebirth-project.jp/

 

一般社団法人リバースプロジェクト

http://www.rebirth-project.org/

 

松下村塾リバースプロジェクト with ITOKI

http://csw.itoki.jp/

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